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福島康晴とモンテヴェルディ


いよいよ次の日曜日11月9日に、エクス・ノーヴォ室内合唱団の第2回公演が行われます。
会場は福島先生にとって凱旋ともいえる、千葉市美術館さや堂ホール。
古楽演奏に最適といわれるこのホールで、何を思い演奏するのか、福島先生に伺いました。

 

Q. 前回の公演では、ドゥランテにより華々しいお披露目公演となりました。
今回はモンテヴェルディです。
団のコンセプトを考えると必然とも思える作曲家ですが、
日本でもバロックのジャンルの中では演奏を耳にする機会が多い作曲家です。「初めから作り直す」意義についてお伺いします。

A. やはりモンテヴェルディは何と言ってもこのグループにとって一番重要な作曲家です。

私が勉強してきたイタリアの後期ルネッサンスからバロックも、常にモンテヴェルディを目印にしていました。

モンテヴェルディの音楽は雄弁であります。ですから、彼の音楽に接するたびに、新たな発見や感動が待っています。

イタリア・バロック音楽専門合唱団を標榜しているエクス・ノーヴォで演奏する場合は、通常「なんとなくみんなそうして演奏してる」ようなことを考え直す必要もあって、プロポルツィオーネやムジカ・フィクタ等の問題を「蓄積した知識」と「現場での経験」によって解決法を見いだすようにしています。

今回のオルガニストである桒形亜樹子さんも、卓越した演奏家であり、当時の音楽理論を深く研究している音楽家のひとりです。

色々な問題を桒形さんと話し合って決めたりしていて、知的にも音楽的にもエクス・ノーヴォの目指す精神に共鳴していて嬉しく思っています。

Q. 一回の公演で一人の作曲家のみを取り上げたとき、聴衆に飽きを生じさせるリスクもありますが、今回はその周辺の作曲家の曲も取り上げられますね。

A. 飽きると言えば、実際私たちが演奏するような典礼の中で演奏されていた音楽の場合、グローリアとクレドを続けて演奏されると私はいつも退屈してしまいます。

ですから、今回は緩やかに典礼の流れにリンクしてミサ曲の間には小さいな曲や、オルガン曲が挿入されます。

そして、前半はモンテヴェルディが生前関わっていた人たちの中から、他の作曲家の素晴らしい作品を入れてあります。

どれも「捨て曲」無しで美しいです。そして、モンテヴェルディのミサ曲は曲中に頻繁に登場する下降音型のテーマから

クリスマス(降誕)をイメージし、ミサ曲の間に入る作品もクリスマスに関するもの等も散りばめています。

 

Q. 前回公演からメンバーを絞った感がありますが。

A. 人数的には絞った感じはありますが、音楽が要求するものに合わせただけです。

実際イタリアの聖歌隊には、いわゆる「合唱」といえるほどの人数がいたわけではありません。

たいていの場合、当時の出版された宗教曲のパート譜はほとんど1冊ずつしか教会の古文書館には残っていませんので、例えば、モンテヴェルディのヴェスプロは各パート一人で歌っていたと主張する人もいるわけです。

ですから、今回の10人という編成が少ないと言うことはありません。丁度いい人数だと思っています。

Q. 会場の千葉市美術館さや堂ホールについて。

A. 今回、千葉で行うので千葉に住んでいる方々にも聴いて頂きたいのですが、是非、都内近郊の方もさや堂の響きを体験して頂きたいと思っています。

私はイタリアで歌っていたとき、コンサート会場の8割くらいは教会でした。

ですから、日本のコンサートホールで演奏するとき、時折、違和感を感じていました。

しかし、このさや堂ホールだけは教会の響きに近いので、満足させてくれます。

是非、さや堂ホールに足を運んで頂きたいと思っています。

Q. 福島さんとモンテヴェルディという組み合わせで思い出すのは、2003年にモンテヴェルディ倶楽部のオルフェオ公演を、ここさや堂ホールとルーテル東京教会で行いました。
「専門に研究対象であり、心技体もって臨んだ」(体を絞ったんですよね)
と、終演後に興奮しながら話されたことが今でも印象に残っていますが、
あれから11年たち、イタリア留学を6年体験した上での気持ちの変容はありますか。

A. それは、覚えていないですね(笑)。今回、体は絞っていないですが、モンテヴェルディを演奏する喜びは変わりません。

そしてモンテヴェルディを演奏することは神社やお寺に足を踏み入れるような、神聖な場所に入る感覚に近いかもしれませんね。

千葉バッハ合唱団で今練習している”Adoramus te”などは、まさにその様な感覚にさせられます。

ありがとうございました。ご盛会となりますように!